CDプレーヤーの購入動機
最近CDプレーヤーを入れ換えました。これまで使用していたCDプレーヤーはソニーのCDP-555ESDというもので、まだソニーも音響製品に力を入れていた20年くらい昔のものです。価格は128000円くらいだったと思います。 記憶が正しければ当時の最高級モデルでパーツから何から相当凝ったものでした。 このCD、途中で中のベルトが外れてトレーが動かなくなることが何度かありましたが、それを自分で直した他はトラブルもなく動作しています。
このCDの音質は非常に骨格がしっかりしたという感じの音で、(カートリッジで言えばDL-103のような感じです)悪くないのですが、唯一の気になる 点は音が(特に中高音が)硬いことです。 昔CDが出始めた頃、よくデジタルくさいという表現が用いられましたが、まさにそういう音で、中高音がちょっと聴きづらいのです。 何しろ昔のものなので、今聴いてみて少々難があって当然かもしれません。555ESDの音質がずっと気になっていてさぞかし最近の CDPは音がいいのだろうなと想像していたのです。
実は2年前にSACDも再生できるマランツのSA-8400というのを買ったのですが、音が薄っぺらく、音楽を聴いてあまり感動できないので結局使用しないでいました。
新しいCDプレーヤーの音質差
今回は定評のあるDCD-SA1を購入しました。実際聴いてみてびっくりしました。音が良くなったことにではありません、音が期待したほど変わらなかった 事にです。 価格も4倍ですし、50万円という定価から考えれば相当の物量を投入できるはずです(事実そうなっていると思います)。しかしその結果出てくる音がこの程 度の差であるとすると、 はたして音質面から考えて、この価格差は妥当なのかと思ってしまいます。と同時にこのCDを絶賛しているオーディオ雑誌、業界は何なのだろうかと疑問を感 じぜざるを得ません。 確かにDCD-SA1は555ESDと比較して、一番気になっていた音の硬さはありません、ただその他の点ではほとんど互角です。むしろ55ESDの方が 低音がしっかりしていて聴いていて気持ちがいいこともあります。555ESDの方がスピーカーBOXの補強をしたような低音域のしっかり感があるのです。
CDメディアによる音質差
少し話は変わりますが、皆さんはCDをパソコンなどで一度良質のCD-Rに焼き付けると音がよくなるというのをご存知でしょうか? 太陽誘電の高音質デジタル録音用「美録」という金色のCDがあるのですが、これにパソコンでCDをコピーすると、オリジナルのCDより音が(特に高音が)よくなります。 高音がきれいになり、しかも高音のレベルが上がった(正常に戻った)様に聞こえるのです。
太陽誘電製 音楽専用CD-R |
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このCD-Rにコピーするという手法は結構音質を大きく変えるのです。そこで2台のCDPにオリジナルのCDとコピーしたCD-Rを入れてセレクターで二つのCDPの出力を瞬時切り替えを行い試聴比較すると下表のようになりました。
つまりCDP間の音質差というものはCDのメディア(実際には焼付け方法も含みますが)の音質差よりも小さかったのです。
CDプレーヤー | 試聴CD | 試聴結果 |
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CDP-555ESD(ソニー) | CD-RコピーCD | ソニーのCDPで再生した方が高音がきれいに聞こえます トータルでもソニーの方が好ましい音です |
DCD-SA1(DENON) | オリジナルCD | |
CDP-555ESD(ソニー) | オリジナルCD | デノンのCDPの方が当然音は全般的に良いです |
DCD-SA1(DENON) | CD-RコピーCD |
おわりに
デノンのCDPの音質は価格に見合っただけの向上がなかったので正直少しがっかりしました。と同時にオーディオ業界というものをつくづく考えさせられた体験でした。 (2006/10/14)