CDプレーヤーが発生する高周波ノイズについて、音質への影響を述べましたが、ここではさらに高周波ノイズについてさらに詳しく説明します。
一般にCDプレーヤーあるいはDACが発生する高周波ノイズは2種類あります。一つは100KHz近辺のノイズ、もう一つは数十MHz帯のノイズです。まづここでは数十MHz帯の高周波ノイズについてみてみましょう。
これから紹介する高周波ノイズはCDPをPAUSEにした状態で測定したノイズスペクトルです。測定に使用したのはデジタルオシロで、デジタルオシロ上でFFTスペクトルを計算しました。
また以下の図で横軸は0-50MHz、縦軸は-110dBから50dBです。
CDP-555ESDの高周波ノイズ(全体にまんべんなく出ている、凄い)
50万円のCDPの高周波ノイズ(強烈なピークがあります)
DV-600AVの高周波ノイズ(比較的少なめですがピークあり)
DAC-FA0の高周波ノイズ(目立ったピークはありません。FA0の測定時期が異なるせいか、線の見え方が異なりますが条件は同じ(はず))
以上の図を比較していただくと、機種間でかなりの差があることがわかります。またスペクトルの特徴として全体のベースライン(基底線)が機種によって異な るほか、特定の周波数でピークのあるものもあります。18MHzと36MHzあたりにピークがあるものが多いようです。また弊社のDACは高周波ノイズが 非常に少ないことがわかります。
ちなみに 一番凄いノイズを発生するCDP-555ESDでも前に紹介したパッシブLPFを通すとこうなります。
CDP-555ESD+パッシブLPFの高周波ノイズ(ノイズがほとんど取れている)
もうノイズはほとんど取れています。
高周波ノイズはもちろん直接聴こえませんが、これだけ高い周波数ですと機器内を飛び回りますし、信号ケーブル、さらに電源ケーブルを通じても伝播している可能性もあります。この様なもともとの信号に無い高周波信号はそもそも制御されたものではないので、その振幅、周波数も変動しやすいわけです。例えば50MHzの高周波信号に例えば0.01%周波数変動(5KHZ)が生じると5KHZの信号として聴こえてしまう可能性もあります(ヘトロダイン効果といいます)。
ですので高周波だから放置して良いというわけではなく、DACの微妙な音のニュアンスにはこの辺も影響していると考えているのです。
(2010/12/16)