ハイエンドショー東京2010に出展しますので

今年もハイエンドショー東京2010春(5/21-5/23)に出展します。

今回は特に新製品はないのですが、音の出口と入り口を向上させて肝心の出てくる音を良くしたいと考えています。

入り口はPCと試作段階のDACを使用するつもりです。DACは試作段階ですが現状でもこれまで使用していたX-30、DCD-SA1などよりもずっと良くなっていると思います。どういいかというとCDP特有の中高音にかたよった帯域バランスが改善されているというか、おとなしい音になっています。高音域のうるささがかなり改善されているので、結果的に低音が心地よく聞こえます。ただ会場で鳴らすといつもややうるさい方向に変わるので、どの程度効果があるかはふたが開いてみないとわからないのですが、前回よりもよくなる事は間違いないと思います。

出口に関してはJBLのスピーカーを購入しましたのでフォーカルの826Vに加えてJBLを鳴らしてみたいと思います。

プリアンプ、パワーアンプに関しては従来と同じなのですが、会場ででている音を良くして説得力あるデモにしたいともくろんでいます。

やはり最終的に「あそこは凄かった」と言われるくらいにならないとだめですよね(今回どのくらい良くなるかは保証の限りでは有りませんが・・・)。

お時間のある方は是非お立ち寄りください。

アンプの音質・特性は回路構成で決まりますか? -いいえそんな単純ではありません-

久しぶりに回路の中身を解説してみたい。というのもxx回路はこういう音がするとか、弊社のアンプ回路を掴まえて回路に新規性が無いのでどうたれこうたれとか、あまりにも単純な事を言っているのを目にすることがしばしばあった。実際にどの様な事を考えて回路設計をしているかを紹介しなければと思ってこのコラムを書いてみました。

最初に一言いわせてもらえば、アナログ回路はもう成熟しきった分野なので、そもそも新回路なんて必要ない場合がほとんどで、xx回路を考案したなんてキャッチフレーズを謡っている事自体(あるとすればの話だ)が非常に不自然な話だ。

それでは各社同じ様な回路を使用していて、それでは同じ結果になるかというとまるで違う。自動車だって、xx社のyyモデルはFFのノンターボでマクファーソンストラット・サスペンションだからこういう走りのはずだなんていったら笑われるだろう。もちろん、構造、様式などは重要だがそれだけで決まるというよりも設計・技術次第でどうにでも変わるので、実際に試乗してみないとそのパフォーマンス・特徴がわからないのと同じ事だ。

回路設計について解説するにはまず基礎的なことを説明する必要がある。

パワーアンプにしろプリアンプにしろ半導体式のアンプ回路は次の3段構成となっているのが普通だ。
ycyoyoiyoyiyayth320.gif<アンプ回路は3段構成>

初段はいわばバッファアンプで利得はあるものの小さく、終段は完全にバッファアンプだ。増幅器としての中核を担うのは中段で初段と終段は中段のために存在するようなものだ。その中段の回路構成は以下の組み合わせがある。

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<中段の回路構成>
トランジスタアンプ自体は非常にシンプルなのだが、それを理想的な条件でここで解説したいのはカスコード回路である。カスコード回路はトランジスタの寄生容量がミラー効果で数百倍に増加してしまう事を回避するために用いられる回路で、高性能半導体アンプでは必須といっていいだろう。

このカスコード回路は2種類あってそれぞれ回路は次のようになる。
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<カスコード回路を使用したアンプ回路(中段)2種>

下の四角で囲った部分がカレントミラーと呼ばれる回路でどちらも同じく能動負荷として働き、ゲインを稼ぎかつ差動トランジスタの出力を合成する働きもする。また、カスコード回路は縦につながっているという様な意味だが、差動アンプの電流が信号によって変調されてもQ1、Q2のコレクタ電位を固定する役目をするため、ミラー効果と呼ばれる寄生容量が数百倍になることを防止する事ができる。右の回路はそのカスコード接続と増幅の役目を1人2役でこなしたような回路で、ベース電位を固定して、エミッタから信号を入力してやることが回路上の特徴となっている。
ここまでは電子回路の教科書に普通に書いてある事で、電子回路がわかる人にとっては何の変哲も無い記述だ。ここから先はオーディオ様のアンプ回路について熟考したもので、教科書には書いてない(といってもわかってしまえば当然というか簡単な事だが・・・)。

左の通常のカスコードに対して右のフォールデッドカスコード回路は、差動アンプとカスコード回路を一人二役でやってのけて回路を簡略化できたすばらしい回路のようにも見えるが、実際はそれだけではすまない。

この2種のカスコード回路はそれぞれ長短があってまとめるとこういう事になる。
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<カスコード回路の特徴の比較>

重要な事項を青で記述したが、回路設計者でもここまでは一般に考えていないのではないかと思う。というのもフォールデッドカスコード回路を使用して貧弱な電源を使用したり(電源ノイズがそのまま入力を変調しているとも知らずに)、あるいは100万円するパワーアンプ回路にフォールデッドカスコード回路を使用していたりするからだ(出力インピーダンスが高いのでパワーアンプにはそもそも向かないのに)。

弊社の場合プリアンプの回路にフォールデッドカスコードを使用しているが、当然の事ながら極めて良質の安定化電源と組み合わせている。まあ、ゲインはほぼNFB抵抗で決まるので、決定的な問題ではないが、内部でノイズまみれというのは気持ち悪い。ちなみによく用いられる3端子レギュレーターは100uV程度のノイズを常時発生させている。

フォールデッドカスコード回路をあるメーカーでは多用しているのだが、おそらくここまでは考えていないと思うし(わかっていたら3端子と組み合わせて使用しないはず)、そのメーカーのアンプ・CDの音質は全体的に高域が妙に目立つ結果となっている。

カスコード回路は使用しないと帯域が狭くなって高域の歪率が悪化するので必須だと思うが、カスコード回路はミラー効果による寄生容量Cobの増幅を抑制するもので、Cob自体は残るのである。Cobは通常数pFなのでもう同でもいいじゃんと思うかもしれないが、実際にはCobの変動が歪を発生する主要因なので、この変動分を抑える必要がある。Cobキャンセル回路というのもあるのだが、そこまでやると回路数がさらに増えて凄い事になる。弊社アンプではCobが小さいトランジスタを選び(もちろ他の性能も良いものだが)、さらにそのCobの変動が小さい領域で動作せている。下の図はトランジスタのCobと電圧の関係だが35V以上でCobが一定となっていることがわかる。プリアンプの電源電圧がプリアンプとしては高い+-35Vになっている理由もここにあって、Cobの変動を抑制したいが為である。+-35Vという電圧は20V以上の交流出力を発生する事もできるので、安全のためにプリアンプには7V以上の出力が発生した場合には瞬時遮断する保護回路も搭載するという凝った回路になってしまった。

cob-vccdata.jpgあるトランジスタのCobの電圧依存性

ここまで考えて設計しているのがプリアンプの中段の話で、もちろんこれ以外にも考慮している事はいろいろある。ここまで来ると相当こみいった話になったと思うが、既存のアナログ回路の中でできる事は無限ともいえるほどあるので、そもそも新規回路という発想は必ずしも必要ないという雰囲気はお伝えできたのではないかと思う。

少なくとも「このアンプの音質はxx回路だからこうだ」とかそういう単純な話ではないという事だけ理解していただければ、このコラムを書いた甲斐があるというものだ。

ホトトギスは鳴いたか? -いえ、鳴けませんでした-

いつもご愛読ありがとうございます。

昨年末には、弊社のアンプがいくつかの雑誌が主催するグランプリで賞をいただいた。これは非常にありがたいことだと思っている。

昨年受賞のお知らせをいただいた時に「来年(今年)に授賞式をやりますよ」という文面が入っていたので、期待していたら、なんと授賞式が知らないうちに終わっていた。確認してみたら何かの手違いでこちらには招待状が届かなかったらしい(プリアンプ、パワーアンプ2個も受賞していたのに・・・・)。正直超ショック・・・。なんで、なんで、なんで。

終わったものは悔やんでも仕方ないのだが、ここはまた今年も頑張れという何かの暗示だろうと勝手に解釈しておく事にしたい。

基本的にオーディオショップを通さないで販売しているので業界に背を向けている様な感じをいただいている人もいるかもしれないが、そんな事はなく、また社会の礼儀みたいなものもきちんと守りたいと思っているので、喜んで行きますよ(呼ばれれば)。まあ、ブログなどで生意気な事も書いているのでばちが当たったのかもしれないし、あるいは今年も頑張れ(来年は招待される様に)という示唆かもしれないし(考えすぎか)、ブログのネタをプレゼントしてくれたのかもしれないし・・・・(これは無い)。
まあでも、来年は招待されるように頑張ろうと思っているのはたしかだ。それに、グランプリなどはもともとこちらには無償で出版社が企画して盛り上げてもらっているので、それだけでありがたいと思わなければばちが当たりますよ、これ本当の気持ち。

ただやっぱり残念だったのでここで一句(有名な武将にあやかるのは失礼かもしれないが)、

「鳴きたくも
終わっていたよ
ホトトギス」

お粗末さまでした。

オーディオの天才バカボン -賛成の反対なのだ-

昔、漫画・天才バカボンのパパがよく「賛成の反対なのだ~」とかよく言っていたと思う(世代がばれるな)。わかった様でよくわからない言い回しだが、オーディオでもこういった表現があてはまる場合がある気がする。それは「低音(良くするに)は高音を」あるいは逆に「高音(を良くするに)は低音を」と言う現象だ。

安物のAVアンプなんかの音を聞くと、音は刺激的で痩せ、低音がまったく出ていないように聴こえる。でもこれなんかは、低音が出ていないというよりは(もちろん低音の出る出ないの差はアンプにもあるのだが)、それよりも中高音が耳障りで、その分低音が少ない様に感じられるのだと思う。
実際調べてみるとAVアンプの場合、歪が多いというのはもちろんだが、単に高調波歪が出ているというより、入力信号と関係ないデジタル的なノイズが結構乗っていたりするので始末に悪いというか、非常に耳につくのである。

AVアンプに限らず、パワーアンプなんかでもそうで、非常に下手に作ると高域の歪が多く0.数%レベルになって、これは中高音ばかりがうるさくなって、相当な電源を積んでいてもまるで低音が出ていないように聴こえたりした事がある(まあ歪率が0.1%程度でも歪っぽく感じない事もあるので、この辺の実情は複雑だが・・・)。
いずれにしろ、こういう場合は低音が聴感上足りないからといって低音をいくら改善しようとしてもだめで、逆に高音域の質を向上させる事が重要だ。

同じ事がCDP回りにも言えて、DACを良くしていくと低音が出るように聴こえて、今までのCDPの音が如何にに痩せた音かわかるようになってくる。最近DACを作り初めて(といってもDACのチップを作っているわけではもちろんないよ)良くわかるようになった(これって時代遅れ?)。

昔、スピーカーなどは自分で組み合わせるのが一般的だった頃は(スーパー)ツイーターを入れたり、ウーハーを入れたり入れ替えたりすると、高音をいじって低音が良くなった様に聴こえたりする事はよくあった(その逆もしかり)。その様な事は昔はオーディオ雑誌とか各所でいわれていた記憶があるが、今の様にケーブル交換みたいな事しかしない様になると、こういった経験は一般的ではないかもしれない。

それが「唯一すべて」というわけでも「必ず正しい」というわけではないのだが、低音を力強くしたかったら、逆に中高音にも着目した方がいい場合もあるでしょうということで、「低音(を出すに)は高音を」「高音(を良くするに)は低音を」という事でこれがオーディオの天才バカボンという事でした(マル)。

これだけは知っておきたい音響工学(その5) -スピーカーセッティングへのこつ-

これだけは知っておきたい音響工学というタイトルで書き続けてきたら、ちょっと内容がそれてきた感がないでもないが、興味深いスピーカーセッティングのコツがFocal社スピーカーの取扱説明書に書いてあったので紹介する。

ちなみに弊社ではフォーカルのCHCHORUS 826V を購入し常用スピーカーとして使用してる。この会社のスピーカーは本当に綺麗な音がするので相当なノウハウのある会社だと勝手に思っている。

その取り説の内容だが普通のスピーカーの取り説よりもちょっと詳しくセッティングの要領が述べられていた。主な項目は4つあり以下の通りである(図面は取り説から抜粋しました)。

非常にわかりやすい絵なので解説の必要もないと思うが・・・・。
(1)試聴位置は正三角形の頂点より後方で

試聴位置

やっぱり後ろで聞きなさいと書いてある。
(2)試聴高さはツイーターより高く

試聴位置は高めに

一般にSPの軸上聞けと薦める場合が多いが、それより上のほうがいいらしい。

(3)コーナー、壁からは離して設置する

コーナーセッティング  「コーナーに近いのはだめ、またなるべく後ろ壁からも離す方が良い」(「」内は取り説の英語の記載内容を私が要約したものです)

とある。理由は低音が3dB、(壁2つで)6dB増強されるからと理由も明快。ただしこれこのスピーカーだから言える事で、貧弱なウーハーの場合は壁やコーナーを利用しないとバランスが取れないことも多いと思う。この826Vは特に低音がぶんぶん過剰と思えるくらい出ているのでこれはその通り。(ただしこの取り説の内容はすべてのシリーズ共通のものなので小SPではドウなの?と思ってしまうが)。

(4) 後壁、左右の壁、床の距離の最適値

距離の関係 「SP中心から最も近い壁までの距離をA,その次をB、最も遠い壁をCとすると(すなわちA<B<C)、B*B=A*Cとなるのが理想的」

この記載、言っている意味はわかるがなぜそうなのか見当がつかない。シミュレーションを一応してみたが(シミュレーション自体が実態にそれほど合わないので当てにならないが)、上記関係にしても特に改善されなかった。フォーカル社は結構なノウハウ(おそらく+理論も)のある会社なので、何か根拠が有るのだと思う。

興味のある方は是非試してみると良いと思う。

(結果が出たらご一報いただけるとうれしいです。)