Archive for 11月, 2006

11月 24 2006

スピーカーシステムの周波数特性(その2)

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はじめに

前節でスピーカーシステムの周波数特性が得られるようになりましたので、SPシステムの置き方などを探ってみたいと思います。

スピーカーの設置高さ依存性

さて、ここでも一度得られた周波数特性を見てみます、全体的にフラットでバランスの良い特性が得られているといえます。

(SP:B&W805S、45cm高のSP台上において測定、マイク高さ1m)

(SP:B&W805S、45cm高のSP台上において測定、マイク高さ1m)
ただ気になるのは150Hz近辺に大きな谷があることで、全体的に低音の量感が物足りないことを裏付ける結果となっています。いろいろ調べましたが、この谷は床からの反射が大きく影響しています。そこで床からの反射の影響を低減するために床に直においてみました(下図)。

床直置きでの周波数特性、RCH)

床直置きでの周波数特性、LCH)
150Hz 付近にあった谷は消え、かつ100Hz以下のレベルも若干上がり低音域のバランスも改善されました。全体的なバランスは床直おきの方が優れていますが、ただ逆に中興音域での暴れが目立つようになってしまいました。床に置くと床からの反射波との距離差が 20-30cmになりますので、 干渉の影響で中高音が乱れる結果になり、根本的な解決策にはならないことがわかります

スピーカーの後壁面からの距離

次にSPの後ろ壁面からの距離を変えた結果について見てみましょう。

上の図面はスピーカーの後壁面からの距離Dbを変えて周波数特性を測定したものです。45cmの台に乗せた状態で測定しています。DBが大きいほど壁から遠いことを意味しています。後壁面から距離に関しては低音域で大きな違いがでました。距離を離すほど120Hz以下の全体的なレベル(線で示しているあたり)が下がってしまっているのがわかります。一般にSPのセッテイングは壁面から離す方が良いと言われたりしますが、必ずしもそうでないことがわかります。周波数特性から言うと、50cmか35cmが好ましいといえるのです。ちなみに35cmというのはSPを後ろの壁にほぼ付けた状態になります。理想を言えばSPを壁に埋め込んだ形で無限大バッフルの様な感じにした方が周波数特性の暴れもなくなっていいかもしれません。またDb=80cmのグラフは中低音域(100-1000KHz)の特性にも鋭いピークが生じていることがわかります。特に小さいSPシステムの場合はあまり後壁面から離さないで、低音域のバランスを取ったほうが好ましい結果になるといえます。

スピーカー試聴距離依存性

次にSPと試聴位置との距離(Dl)の依存性について調べた特性を下図に示します。試聴距離Dl依存性は試聴でも最も明確に認識できる周波数特性の変化です。 距離2mではほぼフラットで低域がかまぼこ型に低下しているのに対して3mになるとやや低域が持ち上がります。4mの距離になると100Hz以下が強烈に持ち上がってきます。 聴感上全体のバランスが整っている様に聞こえるのは3m付近です。2mですと低音不足に聞こえます。 一般に中高音は直進する性質がありますので、間接音が低音域に比べて少なくなるため、試聴位置でのレベルが下がっていて自然なバランスになるのだと思います。 いずれにしろ試聴距離依存性が非常に大きく周波数特性を左右していますので、この影響を平均化する工夫をしないといけないかもしれません。

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11月 24 2006

スピーカーシステムの周波数特性の測定方法

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はじめに

スピーカーシステムの周波数特性はオーディオシステムの中でも最も音質に大きな影響を及ぼす大切な特性と考えられます。 ここではスピーカーシステムの実際の試聴状況における周波数特性の測定方法と実測結果について紹介したいと思います。

スピーカーシステムの周波数特性の測定方法

測定方法には大まかに分けて次の2つの方法があります。
・FFTによる周波数特性測定
・サイン波による測定
一つ目の方法はホワイトノイズをSPから出力し高速フーリエ変換(FFT)することにより周波数測定を測定するものです。この手法はFFTのフリーの解析ソフトもありますので比較的手軽に実施できます。メリットはほぼリアルタイムで特性が把握できることです。欠点としてはノイズ、あるいは統計誤差により周波数特性上のピーク、ディップがあることと特に低域の精度が出にくいことです。測定中のレベル変動を低域成分としてカウントしてしまい、低域の特性が実際よりも大きく見えてしまったり、再現性に乏しかったりすることがあります。
(ホワイトノイズ+FFTで解析求めたスピーカーシステムの周波数特性)
このグラフは実際にスピーカーにホワイトノイズを入力し、応答波形をFFT解析して周波数特性を求めた結果です。
原理的に分解能が一定なので高域程ノイズが目立つようになります。全体的にノイズが目立ちます。ノイズは平均化回数を多くすると改善されるはずなのですが、そうすると本来あったピーク・ディップも平均化されなめらかな特性になってしまう様です。もちろんプログラム・ソフト上で工夫すればこれらの問題はある程度改善されと思いますが、そこまでできるもので安価なものは無いようです。
2番目の方法はサイン波を直接入力して測定するもので、無響室ではよく用いられますが、実際の試聴環境下で測定される例は少ないようです。しかし実際にk の方法で測定してみると、細かな周波数特性上のピーク・ディップがはっきり把握でき、FFTよりも高い精度で信頼できるデータが得られやすいのです。次に実際にサイン波による測定方法を2例紹介します。

サイン波のスイープによる自動測定(その1)

まず最初にパソコン(とマイク)だけで周波数特性をはかる方法を紹介します。RightMark社というところがRMAAというDAコンバーター用の自動測定ソフトを提供しています。
http://audio.rightmark.org/products/rmaa.shtml
フリーソフトですがかなりの機能がで使用できるので試してみました。もともとDAコンバーターのテスト用ですので
SPの測定には向かないのですが、何とか特性を計る事ができました。ただし測定時のレベル設定に非常に敏感でレベル設定は何度もやり直しました。またあまりに周波数特性が悪い場合は測定結果がおかしいと思われることも多々あり、決してお薦めはできませんが、スイープによる測定方法の可能性を見るものとして紹介します。

SP:B&W805S、45cm高のSP台上において測定、マイク高さ1m
この特性は正面2mにおける左右の周波数特性を測定した結果です。SPはB&W805Sです。測定時間は一つあたり数秒で終了し、この様な見やすいグラフにしてくれるので大変便利ですが、実際には先に述べたように何度も測定しなおしています。また全体的に細かなピークディップが少なく測定されています。SP向けにもっと細かくゆっくり測定できると理想的なのですが・・・。特性は全体的にフラットで非常にバランスが取れていることがわかります。 16cmのSPで50Hzまで低域が延びているのは立派です。

サイン波のスイープによる自動測定(その2)

次にもう少々本格的なスピーカーの周波数特性の測定方法を紹介します。使用するのはオーディオアナライザーです。 オーディオアナライザーは低周波発振器、AC電圧計、歪率計が内蔵されたオーデョイアンプ用の測定器です。発振器とAC電圧計がありますので、これを用いて自動測定のシステムを組んでみました。 使用したオーディオアナライザーはPanasonicのVP-7723Aというものです。 この測定器にはGPIBという汎用的な通信制御機能がありますので、GPIBを利用してこの測定器をパソコンから自動制御するシステム/プログラムを構築しました。

サイン波の純音をスポット出力し、音圧を測定した後、周波数をずらして測定を続けます。周波数の可変ステップは5%とし20Hz-20KHZまでを143点を5分で測定します。以下に測定結果を示します。
5%きざみで測定すると連続的にスイープしたかのような周波数特性が得られていることがわかります。先のRMAAを用いた測定結果と比べると次のことがわかります。
・RMAAと全体の周波数特性の傾向は似ている
・ただしRMAAでは狭いディップが広がってかつ浅く、平均化されて測定されてしまっている
(4KHzの谷が広がり、150Hzの谷はかなり浅くなっている)
RMAAによる測定も第一近似としては良いのですが、やはり実際の周波数特性を見てしまうと役不足であることがわかります。 RMAAの測定は全帯域を数秒でスイープすることに無理があり、SP用に数十秒かけて測定できれば同等精度で測定できると思います。
オーディオアナライザーとGPIB制御による測定の問題点はヤはり測定装置が大掛かりになることと、スポット測定のため、比較的時間がかかる(5分)ことです。 5分間ブーとかピーという音を出すので近所迷惑でもあります(ある程度レベルを上げないと騒音の影響を受けます)。

(SP:B&W805S、45cm高のSP台上において測定、マイク高さ1m)

(SP:B&W805S、45cm高のSP台上において測定、マイク高さ1m)

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11月 06 2006

アンプの過度応答特性

はじめに

アンプの音質を左右する特性にも色々あると思いますが、「ここでは意外と知られていないのではないか」と思われる特性について解説します。まずは過度応答特性からお話します。

過度応答とアンプの音質の相関

アンプの製作の経験が豊富な方でしたらご存知の方も多いのですが、アンプの過度応答と音質には密接な関係があります。一般にアンプは高域の周波数特性が悪くなり始めるあたりの周波数でピークをもつのが普通です。この理由自体は明確ではありませんが、真空管アンプにしろ、半導体アンプにしろほとんどの場合結果的にそうなるのです。
そこで通常はこのピークを無くし周波数特性を平坦にするために位相補正というものを行います。利得を設定しているNFBループの抵抗に数pFから数十pFの位相補正コンデンサを並列接続し、ピーク付近での利得を調整するわけです。通常トランジスタアンプですとこの周波数は数百KHzから数MHzになります。
この位相補正、可聴帯域をはるかに越えた領域であるにもかかわらず、アンプの聴感上の音質に非常に大きな影響を及ぼします。位相補正を行っていないアンプ(超高域にピークのあるアンプ)はうるさいというかやかましいというか、音質が妙に硬く、また音量を上げると圧迫感のあるような音になります。同じアンプを位相補正すると、アンプのとげのようなものがとれ、しっとりとした感じになります。この差は微妙ではありますが、聴きなれると一度聴いただけで位相補正がしてあるかどうかがわかるようになります。
オーディオフェアなどで聴いた百万円近いプリアンプで、音が妙にうるさく感じられるアンプが有りましたが、後でたまたまそのアンプの矩形波応答が雑誌にでていましたが、それはもうひどいピークが発生していました。
またよくアンプを自作される方の中にはOPアンプやトランジスタを交換して、このデバイスの音は良いとか悪いとか比較されている方がいらっしゃいますが、その都度位相補正を適切に行わなければ、何を比較しているのかわからなくなってしまいます。
経験上、位相補正の有無の音質に与える影響は非常に大きく、抵抗やコンデンサなどの部品の音質差よりも大きいと思います。
そこでこの過度応答について、その測定方法と実測例について説明することにします。

過度応答特性の実測例

過度応答特性(または矩形波応答と呼ばれていますが)とは、矩形波(方形波)を入力して、その出力波形をみる測定方法です。矩形波は基本波とその高次高調波成分をたくさん含んでいますので、矩形波応答を見るだけで高域の周波数特性を見ることができます。
つぎの表は実際のフラットアンプアンプ3種の過度応答の測定例です。上の緑色の線が入力波形で下の青色の線が出力波形です。アンプの(1)は基本波の100KHzに対して十分に周波数特性が伸びておりかつピークもない理想的な矩形波応答波形です。(2)のアンプは高域が比較的早く減衰しているため高調波が出力されないので三角波のような応答波形になっています。(3)のアンプは位相補正を行っていないために基本波の数十倍の周波数で4dB程度のピークがあるアンプです。矩形波応答にも高域のピークの影響が現れています。

(1)広帯域アンプ (2)狭帯域アンプ (3)ピーク型アンプ
過度応答
周波数特性

この例に示したアンプの音質は最初に書いた経験則と一致しています。アンプ(1)が最も良い音質でその次がアンプ(2)です。アンプ(3)は少しうるさい音で、もっとも好ましくありません。アンプ(3)は雑誌掲載アンプのコピーで、決して悪い回路ではありませんし、部品は実は最も高価なものを使用しています。それにもかかわらず音質的に好ましい音にならないのは、位相補正の重要性を示しているともいえます。

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