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パワーアンプのSN比の解説

SN比の定義

SN比とは文字通り信号(Signal)SとノイズNの比のことでそれを対数で表したものです。

         SN比=20Log10{Signal(V)/Noise(V)}
ここで用いる対数の底は10でそのままだと数字が小さくなるので20倍して定義されています。 注意すべきことは基準となる信号Signalをどこを基準とするかは必ずしも明確に定義されていない点です。 プリアンプの場合は1V-2V(パワーアンプが最大出力となる電圧)であるのが多いのですが、パワーアンプの場合最大出力で定義しているものがほとんどです(マークレビンソンは1W出力で定義しています)。

それとノイズの信号レベルも実は定義がいくつかあります。そもそもノイズは周波数に関係なく一定のレベルを保つので、測定系の帯域に比例します。ですので本来の単位はV/√Hzなのです。ただこれだと一般にわかりづらいのでA補正フィルターを使用するのが普通です。A補正フィルターは聴感補正用のフィルターですが高域が落ちているので、結果的に帯域を制限し一般性のある値を示す事になります。

SN比の定義から言って大パワーアンプの方がSN比は良くなるはずなのですが、実際には大パワーアンプの方がノイズが大きくなる傾向があるので結果的にはほぼ一定の値になっているようです。 75W(8Ω)出力の場合出力電圧は約25Vですが、150W出力の場合35Vになります。出力電力が2倍になると出力電圧は√2倍(1.4倍)になるので、SN比は(ノイズレベルが同じなら)3dBよくなります。

それともう一つ、SN比を測定する際はアンプの入力はショートします。実際の使用状態ではプリアンプの出力インピーダンス(50-600Ω)でショートした状態になりますのでノイズレベルは上昇します。さらに入力ケーブルが接続されるので、さらにノイズレベルはカタログ値よりも上昇します。

現代パワーアンプにおけるSN比の考え方

SN比は真空管アンプ、アナログレコード用イコライザアンプ等を別にすれば、さして問題にされる性能ではないかも知れません。特殊なケースを除いて実用上基本的にノイズが目立つような事はないはずです(まれにノイズに悩まれているお客様もいらっしゃいますが)。

ただしSN比は現在のパワーアンプの水準から考えると次の様な指標と考えたほうが良いと思います。
SN比は本来拾わなくても良いノイズをどれだけ拾っているかを示す指標で、配線の取り回しに関する問題をどれだけまじめに考えたか、そして解決したかを表している指標なのです。
パワーアンプの配線の引き回しは実は非常に難しいのです。なぜかというと、

・配線の引き回しに関して理論が体系化されていない
・したがって参考になる文献、教科書がまったくない、
・またシミュレーションできない
からです。

なぜかわかりませんが、配線の引き回しによって生じるノイズに関しては参考になる本、文献が見当たりません。理論的に扱いにくいのでだれも取り上げなかったのかもしれません。もちろんアンプ回路(受動素子、能動素子も含めて)のノイズは計算できる事になっていますし、シミュレーションもできます。ノイズの原因も解明されていますが、実際のパワーアンプにおいては理論値以上のノイズが発生しているのが当たり前です。それがなぜかはわかっていないのです。ノイズレベルが理論値より大きい原因がわかっていませんから、シミュレーションもしようがありません。

したがってパワーアンプのノイズレベルを下げようと思ったら、自身で仮説をたてて一つ一つを検証していくしかありません。その結果がノイズレベルに現われているのです。
パワーアンプにおけるノイズレベルは電力ラインの配線の適切さを表しているともいえます。ノイズレベルは無信号時の状態の残留ノイズですが、信号が入力されたときにも信号に誘発された固有のノイズを発生する事も当然考えられます(ただそれが信号に隠れて見えにくいだけ)。ですので残留ノイズが小さいという事は聴感上も非常に重要な事なのではないかと考えています。


SN比の統計解析

市販されているパワーアンプの価格とSN比(残留ノイズ)の関係をプロットしてみました。





ピンクの四角印が海外製、丸印が国産アンプで、三角が弊社のパワーアンプです。
(データはハイエンドショー・インターナショナルオーディオショーで集めた半導体パワーアンプのカタログデータから拾いました)





SN比ですとパワーの大きさによって左右されますので残留ノイズに換算してプロットしてあります。パワーアンプのノイズレベルは一般に数十uVから数百uVです。弊社のパワーアンプのノイズレベルは7uVでこの値が如何に優れているかお分かりいただけると思います。7uVというのはもうプリアンプレベルのノイズレベルで配線の適切さを表しているともいえますし、他の機種ではさほど配線の取り回しを検討していないか、改善する技術力が足りないのではないかとさえと思うのです。
もちろんこのノイズレベルは簡単に実現できたわけではなく、かなりの検討を重ねています。ある老舗オーディオアンプメーカーのカタログをみるとやってはいけない配線がしてあることが内部写真だけでもわかったりします(それはどこかはノウハウなのでいえませんが)。