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オーディオアンプ用安定化電源の解説

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オーディオアンプ用安定化電源の解説

■安定化電源/はじめに

アンプ用の電源はアンプの性能を左右する重要な要素の一つであると考えられます。電源によってアンプの音質が大きく変わるとも言われています。
またオーディオ関連の記事を見てみますと、安定化しない方が音質がいいとか、ツェナーダイオードによる無帰還形の簡易安定化電源の音質がいいとか諸説があるようです。ここではまず各種電源方式の諸特性を測定し、弊社安定化電源と比較してみたいと思います。さらに安定化電源を使う上での注意点にてついても触れてみたいと思います。

 

■安定化電源/測定

 電源インピーダンスの測定方法

安定化電源の最も重要な電気特性は出力インピーダンス特性です。安定化電源の出力インピーダンスは電源から供給される電流を変調し、そのときの出力電圧変動分を検出します。すなわち出力電圧変動分を出力電流変調分で割った値が電源のインピーダンスになります。

 

 測定した安定化電源回路

測定した電源回路は以下の4つです。弊社安定化電源基板(+35V部)、3端子レギュレーター(+15V)、ツェナーダイオードによる安定化電源回路(+30V)、トランジスタによる差動誤差アンプ式(+35V)です。

 

安定化電源方式   回路       備考

1.オーディオデザイン
DCP-REG3502
  弊社安定化電源基板
誤差増幅器に高速OPアンプを使用したものです。
2.3端子レギュレーター   最も簡単な安定化電源
3.ツェナーダイオード+Tr   ツェナーダイオードで出力電圧を固定するタイプ。トランジスタは出力電流を大きくする目的で挿入されています。
レギュレーション特性はダイオードの特性とコンデンサ、トランスなどで決まります。NEBをかけるタイプではないので音質が良いという人もいるようです。

4.Tr差動アンプ

 

オーディオアンプの本に掲載されていた回路。誤差増幅器を使用するタイプとして、しばしば登場するものです。定数・使用部品はアンプの教科書に書かれている通りとしました。

 

■安定化電源/測定結果

 安定化電源の出力インピーダンス特性

各安定化電源の出力インピーダンス特性を周波数の関数として測定した結果を次に示します。横軸の周波数の単位はKHzであることに注意してください。すなわち左端が100Hz,右端が10MHzです。

弊社安定化電源が圧倒的に出力インピーダンスが低い(可聴帯域で20mΩ以下)ことがわかります。弊社の安定化電源は保護回路を搭載する前は6mΩでしたので、そのポテンシャルの高さがわかります。次に出力インピーダンスが低いのは4.のTR差動増幅タイプ(緑色)ですが、100KHz以上の高域でR0特性がうねっており、これは高域で共振現象が起きている事を示唆しています。この様な共振系が存在すると、次で見る過度特性が悪くなっており、聴感上も影響を及ぼすことが懸念されます。

3端子レギュレータとツェナーダイオードによる電源はR0特性が似ているのですが、10KHzから100KHz近辺で100mΩ、それ以下では0.5Ω位まで上昇しておりあまり低インピーダンスとはいえません。この様な周波数依存性は安定化性能は必ずしも高くなく、電解コンデンサのインピーダンスに特性が支配されているのではないかと思われます。またツェナーダイオードタイプのものは2-3MHzで強い共振を起こしており出力インピーダンスが非常に大きくなっていました。これだけ大きく共振するとアンプに接続した際もこの周波数帯域で不安定になる恐れがありますので注意が必要です。

これらの出力インピーダンス特性は安定化電源の回路形式だけで決定されるわけではなく、むしろその回路の熟成度、完成度によって特性が決まる面もあります。もちろん3のツェナーダイオードによる安定化電源のR0が極端に下がることはありませんが、簡単な回路だからといって安定であるとも限らないのです。したがって一部の方が主張する「誤差増幅器を使用した安定化電源は音質が悪い」という説は一般性のある話として展開するのは非常に乱暴といえます。

 

 安定化電源の過度特性

各電源の過度特性測定結果を下表にまとめました。この測定結果は出力電流が急激に変化した場合に安定かどうかを調べるものです。出力インピーダンス特性を測定する際は正弦波を入力していましたが、矩形波を入力して波形を観測すれば過度特性を見ることができます。下表で下側の波形がVeの検出波形で出力電流(=Ve/500)に比例します。上側の波形が電源電圧Vccの変動分でR0(=(ΔVcc/ΔVe)*500)に比例します。すなわち、上側波形の矩形波の振幅が小さいほど出力インピーダンスが低いこと、また立下り、立ち上がりにおいてパルス性の出力が小さいほど安定な電源であることを示しています。今回の条件は6mAp-pの電流変化に対する電圧変動を調べていますので、かなり厳しい条件です。通常のプリアンプでの使用条件では例えば10KΩの入力インピーダンスを有するパワーアンプに対して2V程度の電圧を供給しますので、この場合1CHあたりたった0.2mAしか電流は変化しません。
ここでは加速試験として、その数十倍の電流変化を起こしていることに注意してデータを見てください。

上側波形:Vcc変動 10mV/div(=1.67Ω/div),  下側波形:Ve変動 1V/div(=2mA/div)
   (波形は断りのない限り10回のアベレージング波形)

 

被測定アンプ 100Hz 10KHz100KHz
1.オーディオデザイン
REG-3502
2. 3端子レギュレーター
3. ツェナーダイオード+Tr
4. Tr差動アンプ

 

・オーディオデザイン安定化電源の過度特性

弊社電源は矩形波の入力に対して出力電圧が変動していないことがわかります。出力インピーダンスが非常に低いので実際の使用上では電圧が変動しないのです。ただ100KHzの入力に対しては若干のパルス上のノイズが出ていますが可聴帯域内はパルス状ノイズもほとんどありません。

 

・3端子レギュレーター電源の過度特性

3端子レギュレータの波形はフラッシュさせて2通り表示させています。100Hzのそれは波形のアベレージングの有り無しで表示を切り替えています。通常10回を平均化して測定していますが、一見リップルのように見える残留ノイズがあったのでアベレージング無しでも測定してみました。アベレージング無しの場合、数KHzにピークをもつやや大きめのノイズがのっています。また100KHzのフラッシュ波形は、一つが通常時の波形、もう一つは大きなピークの出ている時の波形(なぜかは明らかではないのですが)です。一度だけこの様に大きな発振に近い症状を引き起こしたのですがその後この症状は再現しませんでしtあ。3端子レギュレータの内部回路は意外と複雑ですのでこの様な異常現象が出た場合(通常は異常と気づきませんが)対処の使用がありません。ただ全般的には簡単な割りに非常に特性が良いので利用価値はあります。

 

・ツェナーダイオード+トランジスタ電源の過度特性

3のツェナーダイオードによる安定化電源は今回の安定化電源の中で唯一誤差増幅器を持たないタイプですが、やはり高域でスパイク状の電圧変動が出ています。また低域100Hzにおいては結構電圧も変動しています。このタイプの安定化電源は平滑コンデンサのインピーダンス、トランスの巻線抵抗、ツェナーダイオードの抵抗分(=ΔV/ΔI))の合成インピーダンスになると考えられます。電源のパーツを大きくすれば多少は改良されますが、他の方式に比較して所詮性能ではかないません。

 

・差動トランジスタアンプ電源の過度特性

過度特性が最も悪いのが4.のトランジスタ差動アンプ式電源です。10KHzでもスパイク状のノイズが発生しています。安定化電源といえども誤差増幅器を有している場合ゲインを最大限に上げたアンプを内蔵しているわけですからしっかりと設計・製作しないとこの様な結果になってしまうのは当然です。実用上は問題ない(聴感上簡単にはわからない)と思いますがハイエンド用としては気になるところです。この回路自体が悪いというよりもアンプ電源の誤差増幅器をアンプとして見たときの詰め(特に高周波特性)が甘いと思われます。

 

 電源の特性と聴感との相関について

上記各種電源をアンプに搭載して試聴するテストは行っておりません。ただ弊社のアンプに対するお客様の結果や自身の試聴経験からは共通して次の様な特長があります。

・解像度が高い
・音が生々しい
・楽器の音の余韻がはっきりと聴こえる様になった
・ソースの歪だと思っていた音が歪まずに聴こえるようになった
・ホールの残響が良く聴こえるようになった
・シンバルの音に楽器の厚みが感じられる
・低音が締まって聞こえる
・歪み感がなくクリアーな音
・SNが良い

これらのいくつかは微妙なニュアンスが良く伝わるようになったという点で同じです。電源の貢献度も大きいものと考えています。

 

■安定化電源/おわりに

安定化電源の出力インピーダンス特性、過度特性などを調べてきました。実際に様々なタイプの電源を調べてみると、その特性は定説としていわれている事項と必ずしも一致しないことがわかりました。電源も単に試聴テストにたよるのではなく特性測定と改良を積み重ねていくことが肝心といえます。また測定結果を通じて弊社安定化電源の高性能さがご理解いただければ幸いです。

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